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アフリカツインが復活した。1988年に発売し、アドベンチャーというカテゴリーを確立した立役者だから、その注目度はとても高い。昨秋の東京モーターショーで発表されると、瞬く間に世界中のバイクファンの間で話題となっているニューモデル『CRF1000L Africa Twin』だ。
欧州で先行発売され、ついに国内でも販売がスタート。発売日の少し前に、ホンダは福島県いわき市にあるモトクロスコース、モトスポーツランドしどきでメディア向け試乗会を開催した。


まさに待望の試乗機会。そこには標準タイヤであるダンロップTRAILMAX D610を履いた車両と、クローズドコース用にコンチネンタル TKC80を装着する車両が待っていた。

シート高は870mmと決して低くはないが、座面の先端が絞り込まれた形状になっていて、足着き性はさほど悪くない印象。身長175cm、体重67kgの自分が乗れば、前後サスがジンワリ沈み、両足を出した場合、オフロードブーツのツマ先がしっかり届く。


さらにシートの調整機構を備えていて、これは差し込み口を変えることで20mm低くなる。それでも不安な人にはオプションでローシートが用意され、820mmまで下げることができる。

さぁ、まずオンロードで乗ってみる。ボア×ストローク:92.0×75.1mm、998ccの直列2気筒エンジンはフラットな特性で高回転までスムーズに回る。ライダーの意志に従順なスロットルレスポンスとクセのない軽快なハンドリングで、ワインディングもキビキビ走る。不快な振動はないが、270度位相クランクならではの鼓動感が心地良く、流しているだけで楽しくクルージングも退屈しない。


ウインドプロテクション効果も高い。スクリーンの中央、両サイドに通気口を設けたことで、頭部周辺と上半身に当たる走行風を低減。フェアリングによるプロテクション効果も感じられ、これなら長時間の走行も快適だ。

新型アフリカツインには、デュアル・クラッチ・トランスミッションを搭載する『CRF1000L Africa Twin<DCT>』が設定されるのも大きな特徴となっている。詳細は公式HPを見て欲しいが、簡単に言ってしまうと、クラッチレバーとシフトペダルがなく、オートマチック感覚で走れる仕様だが、これがまた素晴らしい。乗る前は、オフロードでDCTなど不要だと思っていたが、それは間違いだった。


特にいいのは、林道を走ったとき。舗装はされているものの荒れていて、濡れているようなスリッピーな路面が続くシーンでは、ライダーは絶えずクラッチワークに気を遣い、何速で走るべきか慎重になって判断しなければならないが、DCT車ならそこに神経を使う必要がなくなり、アクセルワークやブレーキング、車体バランスをとることだけに集中できる。

ギアの選択も文句の付けようがない。低いギアで引っ張りたいとき、シフトアップしエンブレを効かさずにスムーズに走りたいとき、いずれの場面でもライダーの意志どおりにギア段数をチョイスしてくれた。これは車速、エンジン回転数、スロットル開度、ギアポジションなどにより判断しているが、その適確さには感心するばかりだった。


ホンダが用意した公道コースの中には、ダート区間の続くセクションもあり、そこには雪や凍った土が残っていたが、DCT車は難なくトレッキングを楽しむことができた。MT車でも同様のコースを走ったが、半クラを多用し、アクセルを恐る恐る開けることになり、疲労度はまったく違う。たとえば、3桁国道や県道のそのまた奥の細い道。1〜1.5車線のオン/オフごちゃ混ぜの道とでも言おうか、こういうシチュエーションは日本のツーリングライダーなら容易く想像できるはずだが、オン寄りになった最近のアドベンチャーモデルでは苦労しそうな道も、新しいアフリカツインならワクワクしながら入っていける。
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【試乗記】際立つオフロードでの走破性! CRF1000L Africa Twin:青木タカオ originally appeared on Autoblog Japan on Thu, 25 Feb 2016 05:30:00 EST. Please see our terms for use of feeds.
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